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小悪魔だったころの私 

いったい、いつから私は、こんなつまんない小奇麗な文章を書くようになったんだろう。自分のブログのどれを読んでも、ソツのない面白くも何ともないものばかり。

 久しぶりに、ライタースクール時代に書いたものを読み直してみた。その生き生きとした描写に自分でも引き込まれた。当時の方が何倍も面白い。

 われながらドキッとした。こんなこともあったっけ。ずいぶん過激だったのね、私って。男と女の話ばかり。小悪魔と言われたのが懐かしい。同じ自分とは思えない。いまは、小さくまとまってしまった気がする。

 ほんの2年前、小悪魔だったころの私。




タイトル<新発見>

 唇を離した途端、お互いに大笑いしてしまった。私は自分がしてしまったことへの驚きから。彼はたぶん照れ隠しから。終電ぎりぎりまで時計を見ながら、しかもこんなところでこんなことをしている、いい年をした二人。

 2回目のお食事会ということで、前回と同じメンバーのダンディとIクンと私の3人で、新橋のガード下にある「とり宴」という居酒屋に行った。間口の狭い京風な雰囲気のあるお店で、日本酒と焼酎が充実している。しかも、一升瓶が格安でキープできる。

 2回目ということもあり、すっかり打ち解けてお酒のピッチも早い。もともと3人ともいける口なので、迷わず一升瓶を頼んだ。ビールもすすみ、焼酎も1本空けた所への日本酒の登場。やっぱり「久保田」は飲みやすい。あっという間にIクンが半分飲んでしまった。こんなに早く飲むと、さすがのIクンも酔ってると思うけど、ダンディも一緒だからそんなに警戒していなかった。2軒目のバーへの移動中から、馴れ馴れしくIクンが肩を組んだりしてくる。もう完全なおやじ。私はそんなに酔ってないけど、金曜日ということもあって、回りのおじさんたちも相当酔ってる感じ。まっ、いいか。たまには私もこの雑踏に紛れてみよう。ダンディは、私とIクンを見て「あなたたちは仲がいいねー。こういうのは大事にした方がいいよ」と言いつつも、心なしか寂しそう。なんとなく座がしらけてしまって、2軒目のバーは早々にお開きになった。その場でダンディは帰ってしまい、私も帰ろうと思ったら、Iクンがもう1軒行こうと誘う。

 頭の中で、誰かが言った言葉が浮かんできた。「まりこさんって、男の人が来たら避けてるよね。自分から切ってるように見えるんだけど…」そうかもしれない。だって、OKして、もしものことがあって、こんな私の身体を見たらビックリするだろうし、私も事情を説明したくはないし。それなら、最初からそんな雰囲気は避けた方がお互いのためだと思うから。そんなことを考えながらも、頭の片隅では、もしも、いつもみたいに帰らなかったらどうなるんだろうとも思っていた。
  
 寺山修二氏の著書「壜の中の鳥」にあったように、生きることは「出会うこと」です。それをおいて一体何がはじまるというのでしょう。キスしてみる、寝てみる、失恋もしてみる、詩も書いてみる。一つ一つを大げさに考えすぎず、しかし一つ一つを粗末にしすぎないこと、だと。夏休みに読んでから、ずっと心のどこかにひっかかっていた。私が自分を守っていると思っているもの。それは、案外どうでもいいものなのかもしれない。自分の殻を破ってみたい。本能に身を任せるとどうなるんだろう。それを確かめたかった。

 たどりついたお店は、暗がりの中にそこだけぽつんと明るい小さなアイリッシュバー。こんなところによくこんなお店が、といった洒落たもの。店内は、ある種独特の人達で埋め尽くされていた。入り口付近はスタンディングバーで、どこが通路かわからないほど人でいっぱい。Iクンの後をついて奥の部屋に行くと、そこはテーブル席で、どちらかというとカップルというよりは、じっくり話をしに来ている常連達で、女同志か男同志が多かった。混んでいたけれど、運良く壁際の席に座れた。隣のテーブルとは30cmぐらいしか離れていない。しかも店内は明るい。その部屋には25人くらいは、いたような気がする。

 どこからこういう展開になったか記憶にないけれど、いつのまにか、Iクンは私のおでこや頬にキスをする。そのままにしておいたら、唇に移ってきた。私は壁側に顔を向けているから店内の大勢の人達は見えていない。でも、彼には全てが視界に入っているはず。この人って、全く気にも留めていない。ある意味すごいかもしれない。
「ねぇ、だめだよ。みんな見てるよ」と私。
「みんな僕らのことは夫婦だと思ってるよ」と彼は全然意にも介していない。

 店内は明るいし、すぐ隣にも人はいる。でもキスをやめない。こんなことって生まれて初めて。今まではカップルが人前でキスしているのを見ると、「どこか別の所でやってよ」と嫌な気分になっていた。それが、こうしてその張本人になっているなんて! こんなことを平気でするIクンにもびっくりだけど、やめない自分にも驚いた。誰か知っている人が見ていたらとか、こんなことしちゃいけないとか、頭の片隅ではもう一人の自分が小さく叫んでいた。そして、もっと驚いたのは「羨ましいでしょ」と、自慢している自分を発見したこと。今まで満員電車の中で、いちゃついているカップルを見ると、「朝っぱらから何やってんのよ」と、思っていたけど、あれは羨ましくて妬んでたんだ。いつも常識人ぶってる私の口から出たのは「やめて」ではなく「こんなところじゃいや」だったのだから。

 終電の時間が迫ってきて、お店を出ようと立ちあがった。周りから、思い過ごしではなく視線を感じた。私は下を向かないでまっすぐに顔を上げていた。お店のドアを出ると、そのまま、また続きが始まった。私の後ろを終電を急ぐ人々が通り過ぎて行く。もう、人目が全然気にならなくなっていた。今、この瞬間、こうしたかったから、ただそれだけのことだった。



 長文を読んでくださって、ありがとうございました。

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[2006/09/27 23:58] つぶやいてみました | TB(0) | CM(0)

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